今後の課題
更新日:2022/03/26
少子高齢化が進む日本において、地域包括ケアシステムは高齢者の暮らしを支えるために必要不可欠なものです。しかし、いくつかの課題も残っています。どのような課題があるのか、具体的に見ていきましょう。
医療と介護の連携
地域包括ケアシステムにおいて重要なのが医療と介護の連携です。高齢者は疾患を抱えており、それが複数の場合も少なくありません。そのような状態であっても安心して生活を送れるようにするためには、医療と介護の協力体制が求められます。しかし、医療と介護の関係者の間には見えない壁があるといわれています。互いの立場を尊重し、歩み寄る姿勢を持つことで医療と介護をより効果的に提供することができます。
地域格差
地域包括ケアシステムが確立することで高齢者を支えるサービスの主体が国から自治体に移行します。しかし、財源や社会資源は自治体ごとに差があるため、提供されるサービスの内容にも差が生まれてしまいます。その結果、より充実したサービスを受けられる自治体に人々が流れていってしまう恐れもあります。
サービス提供者の不足
地域住民同士で支え合う互助の存在が地域包括ケアシステムにおいては重要となります。しかし、近年の日本はコミュニティ形成の力が以前よりも薄れています。核家族化が進み親族間のつながりは薄くなっており、ご近所付き合いをしている人も減っています。こういった状況の中、地域のコミュニティを活用する地域包括ケアシステムに対して懐疑的な意見を持つ人も少なくありません。
ボランティアなどを活用すること自体が国の政策として有効なのかといった意見もあります。また、ボランティア人材についても地位格差の課題が挙げられます。大手企業は社会貢献に力を入れており、教育機関もボランティア活動を推奨しています。そのため、地域に企業の事業所や大学などがある場合、自治体は積極的に連携して地域包括ケアシステムの重要性を理解してもらう活動に取り組む必要があるでしょう。
夜間のサポート体制
現在の介護保険サービスでは、夜間の訪問介護は適用範囲外です。そのため夜間の対応が必要になる際は費用が高額になります。自費でまかなえるとしても、そもそも24時間体制でサービスを提供している事業所が少ないという問題もあります。また、深夜にボランティアを動員することも難しいでしょう。
サービス内容が偏る
要介護認定を受けている高齢者に提供するサービスは、基本的にケアマネジャーの判断に委ねられます。そのため、介護保険サービスの利用を前提としてケアプランが作成される可能性が高くなります。これでは、地域包括ケアシステムが目標としている「総合的なサービスの提供」からは外れることになってしまいます。
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